◼︎読書記録
◼︎エゴイスト
◼︎高山真
とてつもない本に出逢ってしまったと思いました。
昨年、とある映画を観に行ったときに
本編の前に流れたいくつかの予告映像。
そのなかでなぜだか心惹かれたのがこの
「エゴイスト」の映画でした。
予告で気になったものを思い出し観にいく、
ということは少ないと思うのですが
この映画はなぜだか心に引っかかっていて
公開日を確かめたのでした。
ひとりで映画を観に行ったのは初めてでした。
感じたものを言葉にするのが
これほど難しいものに久しぶりに
出逢ったと思いました。
ただ、人を愛することにはきっと
自分のエゴは少なからず含まれている、
と感じたことは確かです。
私は愛する人の幸せを手放しには喜べないから。
誰かの隣で笑う愛しい人の幸せを
私はきっと願えない。
できたら愛する人は私が幸せにしたい。
そう思いました。
この本を読んで・・・またその想いが
少し変わったのも事実。
年末に1年で読んだ本や観た映画を整理していたとき
ふと、「エゴイスト」に原作があることを思い出して
近所の本屋さんで一冊だけ残っていたものを購入し
これがフィクションでなくエッセイであることに
衝撃を受けたところから
私のなかの何かが変わったのでした。
電車で読み進めたものの、溢れるものを堪えきれず
後半は自宅で読みました。
ほとんど嗚咽しながら読み終えました。
これが愛ではなくてなんなのだろう?
これがエゴだというのなら愛とはなんなのだろう?
その答えを少しでも知りたくて二度続けて読みました。
それでも答えはでません。
きっと私がこれから生きていくなかで見つけていく
ことの一つなのだと思います。
この本と、そして映画に出逢えたことに
心から感謝したい。
純粋にそう感じました。
「自由であれば孤独であることなど当たり前だ。」
「手を握り合って、お互いを見ている人たちがいる。彼らは、恋をしている。では、手を握り合って、同じ方向を見ていた僕たちは、どうだったんだろうか。お互いを見ているときでさえ、相手の中に「おんなじ部分」を見出そうと躍起になっていた僕たちは、どうだったんだろうか。」
「二ヶ月後、龍太は、友人が下取りに出す予定だった車を買い取った。待ち合わせをした北野駅のロータリーで、いつものように龍太がバスから降りてくるものだと思ってバス停あたりを見続けていた僕の前に、見知らぬ車が止まり、運転席からよく知った顔が手を振ってきた。あの笑顔を、僕は今でも思い出す。」
「愛じゃないですよ。っていうか、僕、愛がなんなのか、よくわからないですもん」
「ううん。あなたがわからなくてもいいの。私はね、私たちが受け取ったものが愛だったと思ってる。それでいいじゃない?」
ふたりが過ごした時間、交わした言葉や温もりが
あとからあとから押し寄せてくる。
それとともに、彼が幼少期に過ごした故郷での時間が
自分のそれと重なって思いを馳せたその刹那、
涙が止まらない。
きっとこれから何度も何度でも
読み返す一冊になるのだと思います。
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